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シェール革命の「都」に、群がる日本企業!!

ノースダコタ州を中心としたバッケン地域と並ぶ、「シェール革命」のもう1つの最前線。それが、世界中の「オイル&ガス」のヒトと情報が集結し、“エネルギーの都”と呼ばれるテキサス州ヒューストン(写真)だ。周辺の郡部も含め500万を超す人口を擁するこの全米第4の大都市も、景気はすこぶるいい。
オフィスや住宅では、「5年ぶりの契約更改で賃料が3割上がった」「3年前と比べ倍になった」といった悲鳴が相次ぐ。石油メジャーが本拠を構えるダウンタウン地区から、日本企業の拠点が多い西のアップタウン地区にかけ、建設中のクレーンが目につく。テナント募集前から着工するオフィスもあるほど。流入企業の急増で、需要を心配する必要がまったくないからだ。
通勤ラッシュ時には片側6車線の高速道路ですら渋滞に見舞われる。タクシー運転手やレストラン、ホテルの経営者、地元記者など皆「景気はいい」と口をそろえる。そして決まり文句のように「オイル&ガスのビジネスのおかげ」と言う。
テキサス州は元来、メキシコ湾海底油田を含め、在来型油ガス田で米国を代表する地帯。そこへシェールガス開発で先行した「バーネット」と呼ばれるシェール層に続き、油分の多い「イーグルフォード」というシェール層が2008年に開発され、経済効果は格段に高まった。
日系企業の参入も活発で、「採掘権益取得などで商社が駐在員を大幅増員したり、安価なガスを利用すべく化学メーカー等が工場を建設したりする動きが増えている」(木村誠ジェトロ・ヒューストン所長)。
地主に巨富もたらす仕組みがシェール開発を後押し
イーグルフォードは昔からの在来型油ガス田であるため、パイプライン網が発達しているのが強み。油質も高く、WTIに対して5ドル前後のプレミアムがついている。探鉱で「はずれ」のリスクも比較的低いとされる。ただその分、権益の価格がヒートアップしており、後発組にとっての参入障壁となっている。
米国で油ガス田の開発をする場合、地主から3年程度、土地を借りる。イーグルフォードでも特にオイルリッチの地域では、土地のリース権(採掘権)は1エーカー(4047平方メートル)当たり2万~2.5万ドルと全米最高水準にある。数年で10倍以上の高騰という。
さらに、開発業者は採掘収入の25%程度をロイヤルティとして地主に支払う。一定の収入が上がらないと失権するため、開発業者は時間との勝負で年間何十本も井戸を掘る。当たれば契約を維持・更新できる。
たとえば、日本の石油資源開発が2012年8月に5%の権益を取得したのは2.7万エーカーにも及ぶ大規模な土地のリース権だ。95%の権益を持つ米マラソンオイル社と共同運営契約を結んでいる。
石油資源開発の渡部克哉・ヒューストン事務所長(写真)によると、地主は40代の牧場経営者で、採掘の制限地内でキリンやシカを観賞用として飼っている。リース権売却収入だけで数百億円に及ぶうえ、現在生産している日量4000バレルの収入の4分の1、ざっと1000万円が毎日地主の懐に入る計算。計画どおり日量2万バレルへ増産すれば、ロイヤルティは5倍に膨らむ。
パイプライン網などの充実したインフラに加え、こうした「地主に莫大な富をもたらすインセンティブが、米国でシェール開発が急拡大した背景にある」と渡部氏は説明する。日本を含めた他の国では地上の土地は私有でも、地下資源は公有が多い。これに対し米国では、地下資源も地上の地主に所有権が帰属するため、民間のアニマルスピリットを存分に発揮しやすいのだ。
外資を利用しつつ主導権と技術は渡さない
チェサピークやデボン、XTOエナジー(エクソンモービルが3兆円強で買収)など、採掘権を取得する開発業者としては、いかに生産性の高い「スイートスポット」を発見するかが勝負。そのための高度な技術を提供するのがシュルンベルジェ、ハリバートン、ベーカーヒューズを御三家とする探鉱・掘削会社。「地下を牛耳る実行部隊」だ。彼らは米国で先行して培った技術を武器に、将来の世界的なシェール開発でも主導権を握ろうとしている。
「おいしいところは皆米国企業が囲い込んでいる」と日系企業幹部はこぼす。日本の商社や資源開発会社なども上流権益を取得しているが、依然として50%未満のマイナー出資。採掘権の過半を握る米国のオペレーターによっては、情報を出し渋るケースもあるという。オペレーターの座を狙い日本企業も技術習得に励むが、探査や採掘の技術者、さらには「ランドマン」と呼ばれる不動産のプロ、法務・会計専門家など、体制整備には相当な努力とコストを要する。
近年は、北米のシェール権益取得で中国勢の動きも目立つ。2011年には中国海洋石油(CNOOC)がチェサピークの一部権益を6億ドルで買収、12年には中国石油化工集団(シノペック)がデボンの一部権益を22億ドルで買った。今年1月にも、中国中化集団(シノケム)がテキサス州での権益取得に17億ドルを投じた。
中国は自国内に世界最大とされるシェールガス埋蔵量を持ち、採掘技術習得に躍起とされる。しかし、米国の開発会社は「中国のパテント規制の甘さを警戒し、先端技術のシェアを拒んでいる」(関係者)。国益を懸けたせめぎ合いが展開されている。
「極端な環境規制はない」との見方
一方、水圧破砕(フラッキング)による水質汚染などの環境問題をめぐり、全米で議論が盛んなことは事実。環境規制では州の権限が強いが、すでにニューヨーク州のように水圧破砕による開発が禁止されている州もある。テキサス州を含めて多くの州では、掘削前に水圧破砕に用いる化学品を公開することが義務づけられている。
ただ、「テキサス州はオイル&ガスが昔からの地場産業。これにストップをかけることは、失うものが大きすぎる」(業界関係者)。そのため、極端な規制強化はないとの見方(期待)が多い。また、「開発当初は中小企業によるずさんなシェール開発も多かったようだが、近年はオイルメジャーなどの大手が参入したことにより、生産のオペレーションがしっかりしてきた」(同)との指摘もある。一般国民の間では、石炭や石油に比べて環境にやさしい天然ガスの普及を歓迎する声もある。
現在、米国環境保護局(EPA)では、飲料水や地下水に対する水圧破砕の影響調査を行っており、14年中にも最終報告をまとめる予定。これに基づいて、全米に網をかける形での何らかの規制強化が行われる可能性も高い。
もっとも、「今のところ米国の業界関係者の間では、生産を大幅に抑制するような規制にはならないだろうとの見方が多い」と日系の開発業者は話す。「すでに海外に比べて大幅に安いガス価格というメリットを享受した米国が、極端な規制強化を行うとは考えられない」(日系商社)との見方もある。
相次ぐ工場の米国回帰、 「製造業が再生の時」
テキサス州は優れた原燃料アクセスと良港を備えており、石油化学産業をはじめ製造業出荷額、輸出額ともに州別で全米トップを誇る。
ヒューストン中心部から南へ約100キロメートル、メキシコ湾に面したフリーポート市。ここが今、米国製造業の復権を象徴する場所になろうとしている。
町のどこからでも視界に入るのが世界最大の化学メーカー、ダウ・ケミカルの石油化学コンビナートだ(写真)。工場の敷地面積だけで約2800万平方メートル(5.3キロメートル四方)、工場以外を含めた全敷地では約6900万平方メートル(8.3キロメートル四方)に及ぶ。単独企業の化学工場としては北米最大規模だ。ダウが米国内で販売する製品の44%、世界販売全体の20%がここで生産されている。
同社は昨年4月、シェールガス由来のエタンを原料として、世界最大のエチレン工場をここに新設する(17年稼働)と発表。アンドリュー・リブリスCEOは、「米国のガス価格の低位安定により、米国製造業は再生の時を迎えた」とコメントした。同社はここで大型プロピレン工場も新設する(15年稼働)ほか、昨年12月にはルイジアナ州のエチレン工場も4年ぶりに再稼働した。原油由来のナフサを原料とする欧州・アジア勢に対し、原料コストで圧倒的優位に立てるとの自信が裏にある。
日本企業も割安なシェールガス利用を狙い工場進出
同市内にはダウ以外にも多くの化学メーカーが進出している。すでに、BASF(ドイツ系)、アモコ・ケミカル、モンサント、信越化学工業などが工場を有しているが、今後はさらに進出や増設が相次ぐ見通しだ。
日系企業の間でも、三井物産はダウと折半出資で世界最大規模の塩素製造工場をフリーポートに建設し、2013年央から稼働する予定。三菱ケミカルホールディングスもダウの新エチレン工場に隣接して、MMA(メタクリル酸メチル)と呼ばれる化学品の工場建設を検討している。また、クラレは、「ポバール」と呼ぶエチレン系樹脂の新工場をフリーポートに近いラポルテ市で建設中で、シェールガス等による原燃料メリットを新設の理由に挙げている。
LNG輸出基地の建設計画も進む。フリーポートLNGデベロップメント社が17年の輸出開始をメドにプロジェクトを進めており、大阪ガスと中部電力が同社と液化加工契約を結んでいる。早ければ3月にも米国エネルギー省から輸出許可が下りる見通し。割安な米国産シェールガスを液化したLNGが将来、このフリーポート市の港から日本へ持ち込まれるのだ。
フリーポート市事業開発局によると、同市での民間企業による新規設備投資は12年には1.2億ドルだったが、13年には24.2億ドル、14年には22.3億ドル、15年には33.3億ドルへと急拡大する見通し。13~15年の3年間合計では80億ドル(約7400億円)、13~17年の5年間合計では113億ドル(約1兆0500億円)に及ぶ。今後もその額は、新たな計画発表とともに一段と増加しそうだ。
フリーポート市に限らず、米国ではロイヤル・ダッチ・シェルやエクソンなど、化学工場の新設計画は引きも切らない。化学業界は年商70兆円に及ぶ米国最大規模の製造業。電機や繊維、住宅、おもちゃ業界など裾野も広い。その設備投資に火がついた。二十数年ぶりに肥料工場が米国内に建設されることも決まった。工場新設は建設業界にも多大な雇用を生む。
電気料金の大幅低下があらゆる産業に恩恵
割安なガス価格のメリットを享受するのは化学業界だけではない。鉄鋼業界は油井管やパイプラインの需要増で潤う。大手ニューコアは天然ガスを利用して鉄鋼を製造するプラントを建設中だ。GEは洗濯機などの家電工場をケンタッキー州に新設するほか、フォードやNCR、ワールプールなど自動車・電機工場も米国回帰の動きを示す。中国での賃金高騰も流れを後押ししている。
安価なガスを燃料に使った火力発電が増えた結果、一部地域の電力の卸売価格は2008年比で半値にまで下がった。電気料金の低下は、電力多消費型のアルミや鉄鋼、ガラスをはじめ、全産業に恩恵を与えている。原油も日欧に比べ割安となり、運輸費が圧縮。人とモノの流れが活発化する。
米大手調査会社IHSのチーフエコノミスト、ナリマン・ビーラベッシュ氏は、「シェール革命によって北米で産業ルネサンスが起きている。米国製造業の競争力向上がますます明白になりつつある」と指摘する。政府の介入によらぬ、民間の企業家精神が推進力。「すでにシェール革命によって全米で170万人の雇用を生んだが、20年までには300万人の雇用が生まれるだろう」という。最終勝利者は米国の消費者と見る。
また、米大手証券ゴールドマン・サックスのエコノミスト、ドミニク・ウィルソン氏は、「米国では今後、石油・ガスともに、1国の増産量としては過去30年で世界最大級の規模になる」と予想。その最も劇的な影響として、これまで長らく世界経済の足かせとなってきた原油価格高騰によるインフレリスクの緩和を挙げる。また、「原油・ガスの増産は米国の経常収支の基調的な改善とドル高を後押しする」とも指摘する。まさに世界のエネルギー・経済情勢は激変しつつある。
日本では昨今の円高修正について、公共投資増大と国債の日銀消化によるリフレ政策の賜物との解釈も多い。だが、それだけではない。ドル高の底流には、日本がアキレス腱とするエネルギー分野で米国に起こりつつある革命的変化と、民間設備投資を主導役とする米国経済の力強い復活の動きがある。
(東洋経済)
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