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日本ペイント買収劇、“白紙撤回”の先!!

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最後の幕引きまで、「不可解」としかいいようがない買収劇だった。

日本ペイントは3月12日、シンガポールに拠点を置く塗料メーカー、ウットラムグループから受けていたTOB(株式公開買い付け)提案が白紙になったと発表した。ウットラムグループが提案取り下げを、日本ペイント側に申し入れた。

日本ペイント関係者によれば、ウットラムグループからは「争ってまでTOBをしたくはない」との意向が伝えられたという。最大手の関西ペイントと双璧を成す、国内2位の塗料メーカーである日本ペイントを巡る買収劇は、ひとまず決着した。

今後は、ウットラムの日本ペイントに対する持ち株比率の引き上げや、両者で展開しているアジア13カ国の合弁事業のうち、いまだ日本ペイントの持分法適用となっている企業の出資比率を過半以上へ引き上げ連結化することなどを協議していくという。ただし、協議の期限や出資の方法など具体策は決まっておらず、これから詳細を詰めていくことになる。


「日ペと争うのは本意ではない」

事の発端は1月21日、日本ペイント株14.5%を握る筆頭株主で、アジアの協業相手でもあるウットラムの子会社ニプシー・インターナショナルから、日本ペイントに対しTOBなどにより保有比率を45%にまで買い増すと通告を受けたことに始まった。ウットラムは華僑系で非上場のオーナー企業である。

これに対して、日本ペイントは、ウットラム側が買収後にどのように企業価値を上げていくのか、企業統治のガバナンスをどのように担保していくのかなど不明な点が多いとし、追加情報の提供を求めていた。

日本ペイントはもともと買収防衛策を導入(10年5月に公表)しており、20%以上の議決権を獲得しようとする買い付け者が表れた場合、取締役会での決議を経て、既存株主のうち買い付け者以外に新株予約権の権利行使をさせることができる。追加情報の要請は、買収防衛策を導入している企業が通常、取るべき経路をたどったにすぎない。

日本ペイントとウットラムは、現在もアジアの合弁事業について話し合うために月1回の決議の場を設けている。2月末にも両社のトップが顔を交えたが、その際、ウットラム側から「日本ペイントと争うのは本意ではない」との話があったという。3月に入り、再度、協力関係を深化させることで合意。ウットラムが買収提案を白紙撤回することとなった。


50年続く協業関係

日本ペイントとウットラムとの協業関係は、1962年にシンガポールでの販売に関する提携を始めたことが出発点だ。それから50年、両者は中国、タイなどアジア各国で合弁事業を展開し、日本ペイントが技術と生産、ウットラムが販売を担うことで息を合わせ、着実に塗料市場での存在感を増してきた。現在では中国やマレーシア、シンガポールなどの市場ではシェアトップを誇る。

日本ペイントがアジアで存在感を示すことができたのは「ウットラムの手腕によるところが大きい」と関係者は打ち明ける。たとえば、いたずらに現地法人を作るのではなく、パキスタン進出にはマレーシアの現地法人を生かす。一方、中国では遠回りのようでも各省に現地法人を設立するなど、地域の特性に合わせた展開が可能になったのも各地の華僑人脈を駆使できるウットラムのトップ、ゴー・ハップ・ジン代表なればこそ、というわけだ。

だが、ゴー氏が議決権の45%を握り、日本ペイントを実質支配下に収めることになっていたら、話は違ってくる。

日本ペイントの収益柱である自動車向けの売上高は全体の3割以上を占める。特に国内の自動車業界は関連メーカーの国籍を気にする、と言われている。いざというときの調達に不安や支障をきたさないための配慮からだ。つまり、ウットラムが日本ペイントの実質的な支配権を握ったとたん、売上高の3分の1は不安定な収益に化けることになりかねなかった。


ヤマアラシのジレンマ

一方、日本ペイント側にとっても、仮に防衛策で買収をしのいだとしても、ウットラムの協力なくしてアジアでの合弁事業がうまくいく保証はない。今回のTOBは、どちらに転んでも双方にとってメリットがなく、逆に傷つけあってしまうという、いわゆる「ヤマアラシのジレンマ」だったと言えるだろう。

さらに、今回のTOB提案には「そもそもの欠陥があった」と、ある有識者は指摘する。ウットラムは実質的にゴー氏のオーナー企業。ウットラムが日本ペイントの議決権を45%握るということは、「ゴー氏個人が上場企業の支配権を持つのと同じ。株主総会の支配権を掌握し、取締役会の監視も効かない。つまり、経営者によるガバナンスリスクが発生する懸念がある」というのだ。

また、アジアの合弁事業の支配権を握っているゴー氏が、日本本社の支配権をも握ることで、たとえばライセンス料を不当に高く設定するなど、利益の移転が容易になるという懸念も発生する。

この2つのガバナンスリスクへの懸念を解消する仕組み、反対意見がないかぎり、上場企業のTOBが成立することは難しかっただろう。


結局、得をするのは日本ペイントか

日本ペイントの買収をあきらめたウットラムだが、引き続き日本ペイントとのアジアの合弁事業を通じた協業関係は続ける。日本ペイントにとっては、このアジアの合弁事業を連結化していくことが、今後のテーマとなる。持分法適用関連会社では、アジアの成長の恩恵をグループとして十分に享受することはできないからだ。

ウットラムとの合弁事業で、日本ペイントの出資比率が50%未満の持分法適用関連会社は9カ国・地域にまたがる。これら持分会社の12年度の売上高合計は1660億円弱。一方の日本ペイントの今13年3月期の売上高見通しは2330億円。合弁事業を単純に連結化していくだけで、今期2900億円の売上高を見込む国内トップの関西ペイントをあっさりと抜き、世界の塗料メーカーにも引けを取らない規模となる。

もともと日本ペイントは15年度には世界のトップメーカーと互角に渡り合うとする、超強気の中期経営計画を立てていたが、日本ペイントの主力は国内向け、なかでも自動車関連が太宗を占める。今後、大きく収益を伸ばすには、海外、特にアジアの成長を取り込むことは最重要課題でもあった。ウットラムとの合弁事業をどれだけ連結化できるかが、大望に近づくカギとなる。ウットラムとの関係は「攻守交代」の局面を迎えることになる。

(東洋経済)




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ブログパーツ [ 2013年03月14日 19:05 ] カテゴリ:アジア企業ビジネス | TB(0) | CM(0)
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