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ユニクロ論争、これにて一件落着!!

私が住むフランスは労働者の権利が強く……というか最強で、ブラック企業などは目にすることはできず、むしろホワイト企業だらけである。朝は11時ころにゆ~っくり開店し、昼になぜか2~3時間の休業時間があり、7時ころにはささっと閉店し、カルフールなどでも締め切りの時間になるとレジで並んでてもバッサリ帰らされる。そして夏は2カ月休み、クリスマスも3週間くらい誰も働いていない。
いったいいつ働いているのだろう……という感じがするが、こんなフランスに住んでいる中、われらが「東洋経済オンライン」の記事などで日本企業のいわゆる“ブラック”ぶりが特集されているのを目にすると、両極端のカルチャーを知っている私としては、今日こそユニクロ騒動にシロクロつけたろやないかい、という気分になってくる。
ユニクロは日々商品の品質や仕事の効率性を改善する努力で有名であり、これは同社に批判的な人々も社員を含めて感嘆するところだ。これに対しフランスではすべての人がいかに非効率に物事をすすめるかを競っているようにも思える。驚くほどノンストレスに進むユニクロのレジにくらべ、フランスのレジは永遠の行列ができる。長期滞在ビザの申請でも、シンガポールは余りの速さに腰を抜かしたが、フランスでは3か月経ってもまだ謎の書類と面談がいったりきたりで物事が全然進まない。
昨日もほんの少し雪が降っただけで、やれバスが運休、やれ列車が運休の大騒ぎだった。ストライキ好きで有名なフランス人は、仕事を休む口実つくりでは世界トップクラスである。そしてこっちが少し「レジの処理が遅い」などと文句を言おうものなら、意地になってゆっくりほかの店員と与太話に話を咲かせ、レジを突然締めて仕事をボイコットしたりするのだ。
それでも感心するのは、これでも世界有数の大国として君臨し、さまざまな劣悪サービスにもかかわらず、世界で外国人の来訪がもっとも多く、世界から尊敬と憧れを得ているということだ。何だかんだ言って私もフランスが大好きで尊敬心を抱いている。本日も冒頭、関係ないことをぶつぶつ語ってしまったが、次のページで本日の本題、ユニクロ論争決着編について書き進めよう。
顧客からも供給者側からも絞られるユニクロ
さて、最初に明確にしておきたいのだが、私はユニクロで不当な扱いを受けているとされる方々に心より同情申し上げるし、これが本当であれば、違法な労働条件に関しユニクロを擁護するつもりは毛頭ない。今回はなぜユニクロがこうなったのか、今後どうあるべきなのか、マクロの視点から大局的にひもといていきたい。以下では退屈な数字の話が約8行続くが、ここは何とか辛抱して読み進めて頂きたい。
まずユニクロの売り上げは2月時点で期初と比較し、客数は9%、売り上げは約7%の驚異的な伸びを続けているが、客単価は2.3%落ちている。単価が落ちているのに売り上げが上がっているということは、回転率が高まっているということであり、従業員にシワ寄せがくる。そして、客数の伸びより売り上げの伸びが低いということは、買いもしないのに来店する困った方々が増えていることを意味する。
1兆円の売り上げで、今期の修正予想値で見ると粗利率は51%、営業利益率は16%というこの業界では圧倒的に高い収益率だ。しかし客からのさらなる値引き要請とグローバルで展開される資源高により、粗利レベルでのマージンプレッシャーがかかるので、人件費に振り分けられる予算は売上比でさらに削られていくだろう。
グローバル競争の影響をモロに受けるビジネスモデル
ここでユニクロのバリューチェーンを考えると、顧客側に目を向ければデフレで客が支払うトータルの売り上げが落ちていく中で、供給側に目を向ければ原材料は上がり、製品を生産するための中国などの海外労働者のコストも上がる。
世界的な綿花の値上がりや顧客の所得減少、実質的失業率の高止まりや中国製品の競争力上昇といったグローバル競争はすべて、中野区で生まれ育ってユニクロ新宿支店で働くバイト2年目の佐藤君(仮名)の人生に直結するのである。
そんな中、強欲な投資家の期待に応えて高いマージンを維持するためには、削れるコストは国内の販管費ということになる。しかも高成長を続けてきただけに投資家の期待やアナリスト予想値が高く、それに未達だとすぐ売り浴びせられるため、高成長企業の社員には無理な負担がかかるものである。グローバル競争と急速な成長というプレッシャーが、ユニクロ社員に重くのしかかってくるのだ。
強固な財務~しかし末端の従業員には無関係
正直、以下のように財務の話やらバランスシートの話やら、退屈な話をぶつぶつ繰り広げるのは気が引けるが、ここはもう一度辛抱していただきたい。
ユニクロのバランスシートは非常に強固で、ほぼ自己資本で賄われている。潤沢にキャッシュが生み出されるが投資コストがそうかかるビジネスでもなく、余ったキャッシュは少し(200億円程度)株主に配当で還元されたのち、分厚いバランスシートにさらに積み上げられることになる。財務諸表を見るかぎり、投資や投資家への還元をしても使い切れないほどのキャッシュが積み上げられているのが見て取れる。
こう考えると物悲しいのは、安全性の塊みたいな財務状態の巨大企業で、使い切れないほど資金があるのに、会社が儲かってもその恩恵を受けるのは経営陣と株主で、いくらユニクロが成長して利益が上がろうと労働者には還元されないことである。
これはユニクロに限ったことではなく、そもそも資本主義ではつまるところ、企業がいくら儲かっても、また企業がいかにおカネが余っていて財務が健全であろうと、その取り分は末端の労働者にはシェアされない仕組みになっているのだ。
そしてグローバル競争と資本主義のサンドイッチに挟まれた安価な労働者は、法律で見かけ上守られていようが、さまざまな仕掛けで実質的に搾り取られていく。
“裁量労働制”は労働者から投資家への不当な富の移転
たとえばユニクロ問題で取りざたされる“裁量労働制”だ。この制度自体は、外資系の金融機関やコンサルティングファームで働いてきた人のように、労働時間で対価をもらうのではなく成果に対して対価をもらう業態では当たり前で、私も人生で残業代などもらったことは一度もない。
しかし問題なのは、この“裁量労働制”がユニクロに限らず、少し前の日本マクドナルドの事例を含め、人件費を抑えるために広く濫用されてきた点である。また日本は本音と建て前の文化なので、とんでもない制度を綺麗な名称で聴こえを良くしているだけのケースがあまりにも多い。
結果的に管理会計の観点から本来ならば間接費に振り分けられるべきコストが会社のコストとして認識されず、社員の自腹負担になってしまっている。このままだと、ひょっとするとユニクロは業態的に低賃金の単純労働者も数多く必要なので、長くいて給料が上がる前に、疲弊して退社してもらったほうがコストマネジメント的には助かるのではないか、と勘繰られてしまう。
英語教育を社員の負担で強制するのは言語道断
なお、ユニクロお得意の英語トレーニングなどについても一言申し上げたい。受講料に関しても勉強時間に関しても社員の人生のためでなく、会社の生産性のために会社が強いているのであるから、当然、販管費で会社が負担すべきコストだ。しかし、実質的には社員が自腹を切るケースも多いという。
実際は英語など使わない業務が多いというか大半なのに、効率性や必要性を無視して英語教育を幅広く導入するなら、そのコストは当然会社が担うべきである(ちなみにここだけの話、英語公用語化で話題になった某大手ネット企業も、表向きは英語が公用語とされているが、実際は全然定着していないという。機会があればまた来日時、突撃取材させて頂く所存である)
ともあれ私が知るかぎり、グローバル企業で、会社が求めるトレーニングを社員に負担させる企業を見たことはない。社員のトレーニング費用は会社の費用であり、社員の給料や私的時間から捻出するのを社員に義務づけるのはお門違いである。
柳井氏へのメッセージ
ユニクロはオーナー企業であるため、柳井正氏の顔色をうかがい、社長に進言したり悪いニュースが届きづらい企業文化なのは想像できる。カリスマ社長の強力なリーダーシップで急速に1兆円企業に拡大したのだから、なおさらのことである。しかしだからこそ、及び腰の社員に変わって私、グローバルエリートが、誰だよお前、というお叱りの声が聞こえてきそうであるが、フランスの彼方から柳井氏に進言することにした。
ユニクロは今や日本を代表する企業のひとつであり、2020年には売上高5兆円を目標に日本を代表するグローバル企業を目指している。顧客に安くてよい品物を提供することだけを企業目標としているようでは、目標が低すぎるだろう。
お客第一、製品改善第一の偉業を成し遂げた今、今後は働く社員を大切にするという意味でも業界に新しいスタンダードを打ち立ててほしい。
ユニクロは「顧客への価値」と「投資家への価値」と「労働者への価値」という難しい3兎を追うことができるだろうか。尊敬する柳井氏の今後のさらなる奮闘に期待したいところである。
(東洋経済)
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