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自動車も円安継続で輸出増とは限らない!!

企業の売上高は、次の四つの要因に影響される。
(1)景気変動等による売上数量の変化。(2)景気変動等による価格の変化。(3)為替レートの変動による輸出数量の変化。(4)為替レートの変動による外貨建て価格と円建て価格の比率の変化。営業利益も、これらの要因に影響される。
輸出産業の場合には、(a)国内販売、(b)輸出、(c)海外生産の各々について、上の要因の働き方が異なる。
まず、「逆輸入」がないとすれば、(すなわち、国内販売はすべて国内生産によるものとすれば)、国内販売からの利益は、為替レートによっては影響を受けない。
海外生産については、逆輸入がない場合、すべて海外で販売される。また、売上数量や現地価格が変化する場合には、売上原価も同率で変化すると考えてよいだろう。すると、海外生産からの営業利益率は不変だ。したがって、外貨建て(以下ではドル建てとする)の利益は、現地での売上数量が不変なら、右の(4)の効果(これを「換算効果」と呼ぶことにする)で、(1+e)倍になる。現地の売上数量が増加する場合には、(1+e+g')倍になる。ここで、eは為替減価率、g'は現地売上数量の増加率である。
輸出については、若干複雑だ。輸出数量や現地価格が増加する場合には、売上原価も比例的に増加するので、利益率はほぼ不変だ。したがって、利益額は、それまでのrRが(1+g+h)rRになるだけなので、増加率は(g+h)だ。ここで、Rは輸出金額、rは輸出の利益率、gは輸出数量の増加率、hは現地価格上昇率だ。他方、為替減価によって円建て輸出額が増加する場合には、売上原価は変わらない。つまり、売り上げ増eRがそのまま利益増になる。したがって、増加率はe/rだ。結局、利益増加率は、g+h+e/rになる。
経済危機前の利益増は輸出増による
以下では、自動車産業について、経済危機前の円安が営業利益に与えた影響を、前述のモデルで説明できるかどうかを検討しよう。
2003年に大規模為替介入が行われたこともあり、04年~07年にかけて円安が急激に進んだ。ドル/円レートは、04年6月の1ドル=109.45円から、07年6月の122.64円へと、12%ほど円安になった。
他方、法人企業統計における「自動車・同附属品製造業」の営業利益は、04年の2兆3369億円から07年の3兆0241億円へと、約3割増加した。つまり、為替レート減価率をかなり上回る営業利益の増加率が実現したわけだ。
こうなったのは、輸出が増加したからだ。すなわち、自動車の輸出額は、04年の9兆2875億円から、07年の14兆3169億円へと55%増加した。台数では33%の増加であった。為替レート減価率を参照すれば、この間に現地通貨建て価格が10%ほど上がったことになる(ドル建て価格が上昇したのだから、数量増は円安の結果でないことが分かる。これは、アメリカの住宅ブームなどによって消費ブームが起こり、自動車購入が増加した結果だ)。
ところで、上のモデルを用いるには、セグメント別の営業利益のウエイトのデータが必要だ。まず、05年においては、台数の比率は、国内生産1080万台、国内販売585万台、輸出505万台、海外生産1061万台であった。営業利益率は、セグメントによって異なる可能性もある。しかし、トヨタ自動車の06年3月期決算要旨にある数字から売上高営業利益率を計算すると、連結ベースで8.9%、日本国内8.2%と、大きな違いはない。そこで、営業利益は、販売台数の比率と同じウエイトで生じるものとしよう。
そして、e(為替減価率)=0.12、輸出はg(数量増加率)=0.33、h(価格上昇率)=0.1とし、国内については、数量も価格も一定、海外生産分はg'=0.33とする。売上高営業利益率は、トヨタの連結ベースの値を用いる。
以上の数字を用いて上のモデルで計算すると、営業利益の増加率は、40%となる。これは、03~07年までの実際の値30%よりは高いが、あまり大きな違いではない。したがって、上のモデルは、円安によって営業利益がどの程度増えるかを近似的に評価するモデルとして使えるだろう。
今後の利益増は主に海外生産による
為替レートは、昨年秋から約2割円安になった。現在程度のレートが今後も続くことを前提にした場合に、自動車メーカーの利益はどの程度増えるだろうか? 上で述べたモデルを用いて、評価してみよう。
04~07年の場合と違うのは、輸出が増加するとは考えられないことだ。国内の販売も減少するだろう。
なお、13年1月における大手3社の数字は、次のとおりだ。国内生産は、どの社も対前年比減だ(トヨタが5.7%減、日産自動車が26.4%減、ホンダが40.3%減)。他方で、海外生産は増になっている(トヨタが5.3%増、日産が13.4%増、ホンダが29.7%増)。
13年2月の輸出の対前年比は、数量で11.7%の減、輸出額で5.3%の減だ。
各社ごとに見ると、13年1月の輸出台数の対前年比は、トヨタが10.5%増、日産が34.5%減、ホンダが59.8%減などと、かなりのバラツキがある。
われわれの目的は円安が営業利益に与える影響の分析なので、簡単化のために国内販売も、ドルベース輸出も、ドル建て価格も、現状からの増減率がゼロであると仮定しよう。
海外生産は、増える可能性がある。右のモデルを言い換えると、海外生産量が増加した場合、それによる円建て営業利益は、生産量増加率+為替レートの減価率に等しい増加率で増える。したがって、海外生産量の増加率をg'、連結利益中の海外生産による比率をfとすれば、円換算の連結利益増加率は、(e+g')fだ。
自動車産業全体では、fの値は0.49である。大手ではもっと高い。13年1月における国内販売、輸出、海外生産の数字(単位・万台)は、トヨタがそれぞれ13、14、44、日産が3、4、33。ホンダが5、1、28だ。したがって、トヨタの場合にはf=0.61なので、2割の円安を前提とし、かつ海外生産量の増加率を1割とすれば、利益は18%程度増加する。日産やホンダはfが0.8程度なので、24%ほど増える。
他方で、13年4月初めの株価の12年11月初めの株価に対する上昇率は、トヨタ56.8%、日産30.7%、ホンダ52.6%だ。右の計算値に比べると、かなり高い。右のモデルによれは、海外比率が低い方が上昇率は低くなるはずだが、実際にはトヨタの方が上昇率は高くなっている。これは、輸出が増えていることが評価されているからだろう。
このように、個別企業別に見ると、さまざまな要因を考えなければならない。また、世界経済の推移によって今後の輸出や海外生産台数は大きな影響を受ける。そして、これらは、大きな不確実性がある。少なくとも、「円安が続けば、必ず利益が増加する」ということにはならないことに注意する必要がある。
(東洋経済)
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