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キリン「一番搾り」を

フローズン・ツートンで拓く、”新”王道マーケティング
東京都内の約70カ所をはじめとする全国約6500店の飲食店で、この夏から一風変わったアルコール飲料の姿が見られるようになった。オレンジと黄色、紫と黄色、黒と黄色――。色とりどりのカラフルなカクテルだ。
しかし、よく見るとそれはただのカクテルではない。キリンビールが今年の春から提案を始めたビアカクテル「一番搾り ツートン」。名前のとおり、2層に分かれる、新しいビールの飲み方である。ジュースやさまざまなリキュールが入ったグラスに、キリンの「一番搾り」を、専用のツートンメーカーを介し注いでつくる。生ビールと同じ泡も特徴の飲み物だ。ビールと組み合わせる味もオレンジ、グレープ、パイン、黒ビール、カシス、レモンなど幅広い。
キリンは近年、このツートンのように一番搾りの新機軸を次々と打ち出している。-5℃まで冷やされ、ツンと立った氷の泡によるシャリシャリの食感と、斬新な外見が特徴の「一番搾り フローズン生」もそのひとつ。昨年(2012年)から本格展開を始め、若い世代を中心に支持を集めている。
定番商品を使って、新しいスタイルを提案し、顧客層を広げる。「古くて新しいもの」を生み出すのが、キリンの戦略だ。この背景にあるのは何か。一番搾りフローズン/ツートンを仕掛けたキーマーケター、キリンビール・マーケティング部商品担当主査の門田邦彦氏(=上写真=)に話を聞いた。
一番搾りを“現代化”する
――昨年から話題になっているキリン「一番搾り」のフローズン、今年のツートンなどキリンの定番ビールである一番搾りが変わってきていると感じます
一番搾りが大きく変革の舵を切ったのは、実は2009年からなんです。当時のビール市場は今以上に激しい落ち込みに悩まされていました。そこで全社を挙げて一番搾りのリニューアルに取り組みました。その結果、原料を徹底的に見直し、麦芽100%にすることで製品の魅力を最大限に引き上げることにたどり着いたのです。成果はすぐに現れて販売は好転しました。
私が一番搾りチームに参加したのはちょうどその頃なのですが、リニューアル効果による好調を横目に、直感的に「このままでは続かないな」とも感じました。
――それはなぜ?
定番商品として継続的に消費者に受け入れられるには、製品がいいのは当たり前で、もう一歩の踏み込みが必要だからです。消費者に「これは新しいな」「価値があるな」ということを、肌感覚として納得してもらわなければいけません。そのために価値を知ってもらうための新しいコミュニケーションが重要になってきます。
――その答えがフローズンとツートンだと。定番商品の切り口を変えて新しくしたということでしょうか。
たとえばハイボールなんかもそうですよね。最近までウイスキーなんて疲れたオヤジがしっぽり飲むイメージしかありませんでした。それがウイスキーを炭酸水で割って飲むというスタイルをあらためて訴求したハイボールの登場で、若い人が居酒屋でワイワイ飲むものに生まれ変わった。プロモーションには、飲食店をうまく使っていました。これに私は強い衝撃を受けました。昔からある定番商品でもコミュニケーションの切り口次第で一気に現代化するわけです。
同じように刺激を受けたのはスターバックスコーヒーです。彼らは喫茶店の現代化に成功した。女性でも入りやすいゆったりとした空間をつくることで、喫茶店といえば男性がコーヒー、女性は紅茶というそれまでの固定観念をぶち破りました。コーヒーそのものを変えるわけではなくて、提供する「場」を変えた。カップでコーヒーを持ち運ぶスタイルを、「かっこいい」と定着させたこともそうです。ハイボールとはまた違うアプローチですね。
現代化のカギはソーシャルにあり
――一番搾りフローズンとツートンはどう現代化したのでしょう?
それぞれ現代化のキーターゲットになる若者に、どう突き刺さるものにするかという点にはかなりこだわりました。特にソーシャルメディア(SNS)での話題作りを重視しました。たとえばフローズンでは泡の形だけでも相当の協議を重ねたんです。ツンと立った見た目に可愛らしい泡を表現した裏側には、「写真を撮って共有したい」と若者に思ってもらうストーリーがあります。
この戦略は実際に功を奏し、SNSでの認知度が大幅に向上。2012年夏場では、ツイッターで月1万件を超える投稿があり、予想以上の反響となりました。ツートンもフローズンでのこうした実体験を生かして、ぱっと見が華やかでカラフルなビジュアルにしました。「試したい」「面白そう」を刺激したのがマーケティングのポイント。実はツートンビールは昔から存在していたのですが、熟練のバーテンダーしか作れなかった。それを誰でも実現できるように、専用の器具(ツートンメーカー)も開発しました。
消費者との接点になるリアル店舗の活用も欠かせません。10万店以上に及ぶ飲食店とのネットワークは私たちの重要な資産であり、見方を変えれば「メディア」としての情報発信の場でもあります。特に若い世代はビールは家で飲まずに飲食店で飲む傾向が強い。そうした生の消費者の声から学ぶことは計り知れません。
たとえば、2011年の夏にディズニー・シーでテスト販売をしているときに気づかされたことがあります。当時、現場でフローズンが好調だという話を聞きました。その理由を聞いたところ「泡がフタの役割をしてくれるから」、と意外な答えが返って来ました。遊園地ってアトラクションで1時間待ち、なんてこともよくありますよね。そんな混んでいる中で飲み物を持っていたら、ちょっとぶつかってこぼしたり、炎天下ですぐぬるくなったりで最悪です。ところが、フローズンは氷の泡がフタの代わりになってこぼれづらいうえ、冷たさを保つ役割も果たしてくれる。
ビールを瞬発的に飲み干してしまう習慣のあるキリンの社員では、逆立ちしても出てこない視点でした。30分もかけてビールを飲むなんて考えられませんから(笑)。
消費者を知るには「彼女をつくる」のがいちばん?
――消費者の気持ちを読み取りヒットをつくるアイデアは、どうやって生まれるのでしょうか?
勘違いされやすいのですが、個人プレーではないのです。特に企業においてマーケターがアイデアを出していくにはチームづくりが何より重要です。一番搾りのマーケティングは4人チームでやっているのですが、それぞれ年代、性別、家族構成などが違う社員をあえて集めています。チーム内で毎週末、どこへ行って、どんな面白いことを感じたのかなどを共有しています。
自分たちにないものは出てこない。結局、アイデアってそういうものだと思います。20代の女の子が何を考えているかなんて、正直言って50代のおじさんにわかるわけない。もちろん山ほど意識調査はやりますよ。でも、どうしてもずれは生じてしまう。そのずれを埋めて行くためには、行動や興味の範囲をできる限り広くして自分のインプットを増やすしかありません。
だから私は週末家にこもっているメンバーには、「まずは彼女をつくれ」と指導します(笑)。そうすれば彼女の興味を丸ごと自分のインプットにとりこめるでしょ。
メーカーの思いが強すぎると失敗する
――門田さんはどうやってマーケティングを勉強されたのですか?
もともと私は営業経験が長くて、マーケティングに移ったのは十数年前のことです。異動前は埼玉の支社で営業をやっていました。「俺が埼玉のビール市場を支えている」って、自分なりに気負いもあったんです(笑)。
30歳でマーケティング部に異動になったときも、「あっという間に1番になってやる」なんて思っていたんですが、見事にその鼻っ柱をへし折られました。先輩マーケターたちとは、知識の引き出しの幅が比較にならなかったんです。趣味人が多く、土日に家にこもるようなタイプはいなかった。人間としての魅力がすごい。自分が恥ずかしくなりました。
マーケティングという仕事は人間としての器や総合力がモロに出てしまう仕事なのだと、そのとき初めて気づかされました。そこからですね、きちんと勉強しようと思ったのは。あとはもうがむしゃらに現場から学びました。
――現場をはいずり回る中で失敗した経験も?
もちろんありますよ……。2007年に発売したプレミアムビール「キリン・ザ・ゴールド」のことは忘れたくても忘れられません。キリンが100周年の威信をかけて、まさに万難を排して挑んだ商品でした。プロジェクトチームは50人以上に及び、予算も数十億円と社運をかけたプロジェクトです。
私はこのプロジェクトを担当したのですが、見事に大コケしました。今考えると冷静になれますが、結局、消費者にとってキリンの100周年は何の関係もなかったんですよね(笑)。コンセプトは「絶対的においしいビール」。商品は最高のものをつくった自信がありましたが、それを「消費者が求めているはず」と言うのはメーカーの勝手な思い込みだった。メーカーの思いが強すぎるといちばん大事なことが見えなくなってしまうのだと多くを学んだ経験でした。これだけ失敗してよく会社もクビにしないなぁと、今でも感謝しています(笑)
自分たちは何もしていない
――マーケティングって難しいですね……。
難しいと思う一方で、私が面白いなと思うのは「マーケターは実は何もしていない」という事実です。私たちが実際に決めていることって、実は商品のコンセプトとネーミングくらいしかありません。味は商品開発、パッケージはデザイナー、広告については広告代理店、とそれぞれに担当分野がある。マーケターが自分たちで直接手を動かしているものはそれほどないのです。
では、マーケターのいちばんの仕事は何かというと、チームのマネジメント。経営者みたいですが、「夢や志を語ること」だったりします。部署も横断的ですし、関係する外部のパートナー企業も多く、全員が同じチームとして当事者意識を持つための「想い」を共有するわけです。
マーケティングは学問ではないと私は考えています。消費者のニーズをとらえ仮説をつくりますが、最後の最後はデータだけではなく、肌感覚の「体験」や「事実」によって、いかに大きな世の中の流れをとらえられるかがポイントです。他社のことも研究します。世の中のマーケターが死ぬほど考えているアウトプットは勉強になる。アウトプットのまねはいけませんが、考え方をなぞることはできる。
そんなふうに必死になってたどり着いたマーケターのコンセプトに共鳴し、チームが一丸となる瞬間こそ、マーケティングの醍醐味ではないでしょうか。
(東洋経済)
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