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法人税減税は賃金アップにつながるか?

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安倍晋三首相が検討を指示したと一部で報道された法人税の実効税率引き下げ(法人税減税)について、その効果を設備投資や賃金アップにつなげることができるか、企業の知恵や決断次第となりそうだ。

経済界からはコスト削減で国際競争力向上や日本の立地競争力強化につながると期待する声が出ている一方、設備投資の拡大や雇用・賃金改善への波及については、エコノミストだけでなく、経済界からも企業の投資行動がカギを握るとの指摘が出ている。

仮に法人税減税でキャッシュフローが潤沢になっても、企業自身が内部留保の積み上げに回せば、減税─投資─賃上げ─国内需要増という前向きの循環につながらない可能性が高まる。「呼び水」となるような追加的な成長戦略も不可欠ながら、法人減税を渇望している企業自身の対応が試されることになる。

コスト競争力向上と立地競争力に寄与

企業サイドには、安倍政権の成長戦略の目玉は法人税減税だとの声が根強く、経済界からは「法人税減税の実現」を求める提言が何回も発表されてきた。経済同友会では7月に法人実効税率を25%に引き下げるべきとの提言をまとめており、減税が実現すれば、ビジネスコストの引き下げや立地競争力の強化につながるとして歓迎する意向だ。

経団連も従来から法人税減税を強く求めてきた。「安倍政権の成長戦略に法人減税は入っていないものの、その後の見直しで、年末までに議論が続いていくことを期待したい」(経団連関係者)としている。というのも「投資減税は対象を絞ったかたちになる可能性がある」とし、効果を受ける業界が偏ることになるリスクを懸念しているからだ。

政府内でも、1月に安倍内閣がまとめた緊急経済対策の中で、補助金や税制支援の対象が主に先端設備投資や環境投資だったため、恩恵を受けにくい中小の非製造業の設備投資は弱いまま推移しており、その実態が6月日銀短観にも出ているとの見方がある。

ロイターが7月に実施した企業調査でも、個別企業が成長戦略で最も大きな期待を寄せるのが法人税減税だ。「国際競争に影響する税率の引き下げは不可欠」(その他製造)、「海外移転の抑制」(運輸)といった理由のほか、「研究開発投資余力の増強となる」(機械)、「設備と雇用の増加につながる」(精密機器)などの声も数多く出ている。

しかし、麻生太郎財務相は15日の会見で、今の段階で法人税を引き下げることに効果は少ないとの認識を示し、菅義偉官房長官は同日の会見で、法人税減税について安倍首相が検討を指示したとの一部報道について「総理がそのような指示をした事実はない」と否定した。ただ、「これから50人前後のいわゆる有識者や現場で商売をしている方などの意見を聞く中で、総理が判断をすること。まずは意見を聞くことから始まる」と述べ、今後の展開に含みを残した。

税制による設備投資・賃金増期待できず

一方、企業が主張するような設備や雇用・賃金への刺激効果は、そう簡単ではなさそうだ。企業の設備投資計画調査を5日に公表した日本政策投資銀行は「企業の設備投資は、キャッシュフローを大きく下回っている。設備投資を刺激するには、法人税減税など税制ではなく、将来の需要増加や期待収益率が上がっていくような循環的な流れが必要」(産業調査部)と指摘している。調査によれば、設備投資の動機づけとして企業が重視しているのが中長期的な期待収益率であり、将来の成長分野を後押しする政策が求められている。

経済同友会も、法人税減税による企業収益の拡大や海外企業の日本進出が、賃金の増加や設備投資の増加をもたらすと提言しているが、「そうした経路で実際にどの程度波及していくのか、定性的にはわからないのが実際のところ。(投資や賃金が増加するかどうかは)各企業の経営判断や資源配分にかかっているとしか言いようがない」としている。

経団連でも、法人税減税で投資が出てくるとすれば、これまで凍結されていた更新投資や省エネ投資、復興投資などが中心とみており、次の成長につながる投資が出てくるかどうかは、さらに何らかのファクターが必要と見ている。

積み上がるキャッシュフロー、動かす工夫

法人税減税を設備投資や雇用・賃金の拡大につなげるためにエコノミストらが指摘するのは、積み上がってくるキャッシュフローを投資などに振り向けさせる方策だ。

法人税減税が実施されれば、直接的には減税分だけ企業収益が増加し、キャッシュフローが増えることになる。すでに企業にはキャッシュフローが積み上がっている。法人企業統計によれば、1─3月期の手元流動性は173兆円と売上高の13%にのぼり、前年同期を上回っている。

ロイター調査によると、企業は手元資金の有効な使い道として「研究開発」を挙げている。新たな需要掘り起しや次なる成長につながる投資として、望ましい動きと評価できるだろう。

しかし、次いで多かったのが「内部留保」との回答だった。国内市場の拡大が見込めない中で、大規模投資に二の足を踏んでいる姿がうかがえる。せっかく法人税減税でキャッシュフローが増えても、資金が動かなければ、投資や雇用・賃金の拡大にはつながっていかない。企業自身、競争力強化のための投資や、将来の有望な需要に向けた投資、あるいは人材投資など、知恵を絞っていく姿勢が広がりを見せていない。

また、政府部内でも、企業の背中を押す施策に工夫の余地がありそうだ。今のところ、投資減税と法人税減税のどちらを優先させるのか明確なスタンスが定まっていない。甘利明経済再生担当相は、出遅れている設備投資のてこ入れ策として、まずは投資減税を検討する考えを示している。

ただ、投資減税は、経団連などが指摘しているように対象が絞り込まれ、効果が限定される可能性がある。

消費増税の環境整備として法人減税も実行するのであれば、寝かせたままの企業の手元資金をいかに動かし、デフレ脱却に向けた好循環につなげていくか、成長戦略においてさらなる工夫が求められることになる。

http://toyokeizai.net/articles/-/17696



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ブログパーツ [ 2013年08月16日 12:33 ] カテゴリ:日本ビジネス | TB(0) | CM(0)
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