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なぜ日本企業は、成長市場で勝てないのか?

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ConnectとDivideに対する現状認識不足

企業のグローバル化はいまや、当たり前すぎるほどの流れである。しかも流れは加速し、なだらかなわけではない。

とはいえ、世界経済の成長エンジンがアジア市場であり、アジアやアフリカを含むBOP(Base of Pyramid)市場の潜在的な能力(ポテンシャル)が巨大であることに変わりはない。この成長市場において、日本企業の技術力やブランドへの信頼度は高く、コンビニエンスストアなどのように、サービス分野におけるノウハウも世界に通用するものが出てきている。日本企業が、持続的な成長を求めるならば、世界の成長市場に進出するのは至極当然のことであり、このような意味において、グローバル化を進める以外にオプションはない。

にもかかわらず、日本企業は成長市場で、本来の力を発揮できていない。なぜ、そのような事態に陥ってしまっているのだろうか。背景には、日本企業に、「つながり(Connect)」と「断絶(Divide)」という2つの要因についての認識が乏しいことがある。

インターネットや高速情報通信技術の進歩、航空路線の拡充による移動手段の高速化などにより、国や企業活動の「境界」が消失している。世界で起きた事件は、居ながらにして知ることができるようになった。いわば「世界の見える化」によって、人々は世界とのつながりを深めている。

一方で日本企業では、これまで意識されなかった断絶が、さまざまなところで発生している。例えば、世代間断絶。現在、50~60歳代のトップが知っている「世界」と、20歳代の若者が知っている「世界」はまったく異なっている。「日本企業は、イノベイティブだった」などと華々しいブランド力の記憶しかないトップと、仕事を始めてから自社のブランド力など実感したことのない若い世代との断絶は大きく、話が通じていない。当然、両者のライフスタイルも知見も、まったく異なる。

同様に、企業と国の断絶がある。企業は、事業活動と収益の極大化のためにかなり前から、国境を超えて動いている。しかし国は、国内という枠の中でしか動けない。教育と雇用の断絶もある。企業が、これからの人材に求める知識やスキルを、大学教育などが的確、適切に提供できていないのである。

現状のままでは、ポテンシャルの高い市場に進出したとしても日本企業の成功はおぼつかなく、国際競争に敗れて衰退する事態さえ想定されるのだ。

なぜグローバル人材は育たなかったのか?

1980年代以降の急激な円高を背景として、日本企業はグローバル化を進めた。しかし、現状をつぶさに見てみると、グローバル化は、「場としての展開」にすぎず、世界全体を俯瞰した経営決断や統治がなされず、さらには「最適な場所においてベストの選択がなされている」わけではないことがわかる。

それを端的に物語るのが、グローバル人材の育成だ。「グローバル人材」というと、日本企業では、ある種のスキルを持つ日本人を育成する取り組み、と考えられてきた。なぜならば、グローバル化とは言っても“出先”をいかに管理していくかに経営の主要な課題があったからだ。

しかし、いま問われているグローバル化とは、事業活動の軸を、シュリンクする国内市場から世界の成長市場へと移すための経営や統治の確立、言葉を換えれば「企業としての変身」である。土地勘のなかった地域や市場で、価値を提供するための戦略を立案・実行する能力と、そのためのノウハウをどのように開発・蓄積するかが重要になってきている。

それを人材という観点から見れば、国籍や性別などを問わず、世界で活躍できる人材を採用し、若い人を海外に出して活躍させることに尽きる。

実は、日本企業にもグローバル人材の育成のために、積極的に若者を海外に送った経験がある。自動車や電機産業などでは、1960年代頃から若い人を海外に出し、日本製品の定着のために努力させていた。そして彼らは、「MADE IN JAPAN」という日本ブランドの確立に貢献した。

ところが、日本の国内市場が成長期であったこともあり、先駆者となった海外派遣組に蓄積されていたノウハウは、あくまでも出先のノウハウとされてしまい、企業自身のグローバルノウハウにはならなかった。そしていま、先駆者たちの成功体験と、グローバル化の流れで求められているものの間でもギャップが拡大し、ここ20年間の世界の動きに対する認識や情報分析は、古臭いままで、更新されてこなかった。

現在の世界は、インターネットや情報通信技術によって境がなくなっているものの、その底流にある本質的な意味はまだ誰にもわからない。確かに、世界は見える化された。しかし、断片的な情報をとらえることと、その背景にある世界を変える力を理解しようとすることとは別の問題だ。

現在の日本企業は、自身が世界を見に行こうとしていない。見もせずに的確な対応を取ることができないのは自明の理だ。こんな簡単なことすらできていないのである。残念ながらグローバル企業に変身するという、いま直面する課題を理解できていない人たちが、グローバルな人材について考えている状態だ。

最初から世界を視野に入れた事業展開とリバースメンタリング

日本にも、グローバル化やグローバル人材の育成に力を注いでいる企業がある。

例えば、コマツ。かねてからグローバル人材の育成を地道に続け、トップは、「世界から日本を見られる人材がコマツの将来を決める」と明言している。

そして社歴の若い企業には、大企業など及びもしないグローバル企業がある。DeNAやグリー、楽天、ソフトバンクグループなどだ。これらの企業に共通するのは、「最初から世界を相手にしている」ことだ。つまり、自らのビジネスを国内にとどまらせる気など毛頭なく、最初から世界での事業展開を視野に経営をデザインしようとしている。

そのために、人材採用においても、「どこの国であろうが、この仕事に一番の人材を採る」といったシンプルだが強固な方針を堅持している。例えばファーストリテイリングでは、世界中で優れた人材を採用し、世界の開発現場に散らし、そして世界で販売店を増やしている。

こうした企業で実践されている、グローバル化を進める上で有効な概念が、「リバースメンタリング」である。これは、ジャック・ウェルチが10年ほど前に提唱したもので、若い世代がベテラン世代に学ぶのではなく、上の世代が若い世代に学ぶという逆方向のメンタリングである。

グローバルな事業展開で重要なのは、現地市場に対する深く正確な認識である。現地の人々はどのような感覚で暮らし、どのような商品やサービスを欲しいと思っているのか。“人々の意識の底”にあるものは、マーケティング調査だけでわかるものではない。鋭敏で繊細な感覚を持つ若い世代ほど、現地での経験を積めば、それを皮膚感覚として実感できるだろう。

一方で、ベテラン世代には、トラブルシューティングや社内のリソースを効率的に使う方法など、いくつもの知恵がある。これもまた、現地市場での成長のためには不可欠であり、若い感覚とベテランの経験・知恵がミックスされたところに、「現地事情を十分に理解した上で、新しい価値を提供するコンセプトや、現地の人が求める『経験』を提供する事業活動」が可能になる。

若い人の感覚を共有し、その情報を上手に使い、経営の意思決定に活用していく。それこそが、グローバル経営の基本的な仕組みであり、グローバル人材を育成する基本的な考え方にもなる。

にもかかわらず、ベテランの商品開発者が日本で考えた製品を現地市場に投入しようとする。となれば、現地ではサービスで解決できるものも、余計な機能を付けて使いにくくしてしまう。こんな状態のままでは、現地で必要とされている機能だけを持つ製品を新たな販売方法で使いやすくするというような環境(政策)づくりはおぼつかない。

なぜ日本企業は、アップルの「iTunes」や「iCloud」などのサービスを創造できなかったのか。その疑問は、グローバル化においても突きつけられている。そして、答は極めて明白だ。「顧客を、どこまで本当に知ろうとし、顧客さえも気がついていないニーズにたどり着いているか」。これをものづくりだけでなく、グローバル化とグローバル人材の育成という視点でも検証する必要があるのではないだろうか。

グローバル化の「5W1H」を再検証する

企業のグローバル化の進化形態として、「GIE」(Globally Integrated Enterprise)という考え方がある。IBMのCEOであるサミュエル・パルミサーノが2006年に『FOREIN AFFAIRS』に発表した、一つのモデルである。

企業は、海外で売る・つくるという「国際企業」から、海外への権限移譲を進める「多国籍企業」へと変身し、そして、地球で一つの会社となる、つまり世界中 で一番ふさわしい場所に事業機能を分散させ、適正な場所で、適正な時期に、適正な価格で経営資源を最適化するグローバル企業へと進化を遂げるモデルだ。

実際、IBMはGIEへの変身を実践し、それを体現して見せている。成功体験を足かせとせずに、常にグローバル企業としての変革を模索する姿勢は、企業のグローバル化を推進するうえで大変に参考になると思う。

もちろん、IBMが成功しているからといって、ただコピーすれば良いわけではない。テクノロジーを事業の軸とするIBMと、コンシューマー系の企業では、カスタマイズが必要など違いもあるだろう。

日本企業はいま、そのグローバル展開のために、事業を「5W1H」で見直す必要がある。グローバル化の基本に立ち返り、いつ、どこで、誰が、どんな商品で、 どのように事業を展開すべきなのか、それはなぜなのか、を再検証すべきなのである。自社のユニークな強みは何なのか、どの市場であれば、自社の製品は強みを発揮できるのか、そのためにはいま何をすべきかなど。

自社にとってのグローバル化とは何なのか、何を目指しているのか、という基本的なテーマをもう一度見直すことが必要だろう。グローバル化だからといって、すべての企業が世界を対象にする必要はない。ユニチャームのように、「ア ジアで一番になる」という戦略も、きわめて優れた「5W1H」の展開だ。小さなベストプラクティスが、グローバル企業への変身を強く促すはずである。

そこでは、経営トップのイマジネーションが問われる。かなり明確な自社像をイメージできなければ、グローバル化への変身を推進できない。もちろん、それができないトップであれば、トップの存在そのものがグローバル化を阻害する最大の要因になることは言うまでもない。

http://www.dhbr.net/articles/-/1985



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ブログパーツ [ 2013年08月24日 11:01 ] カテゴリ:日本ビジネス | TB(0) | CM(0)
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