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ソニー、「スライドパソコン」量産化の秘密!!

マイクロソフトが画面タッチ操作に対応した最新OS「ウィンドウズ8」を発売したのは2012年10月26日のこと。その同じ日に、多くのパソコンメーカーが対応機種を発売した。マイクロソフトのジャン-フィリップ・クルトワ上級副社長によると「世界で1000以上、日本では250以上もの対応デバイスが世の中に登場した」という。シェアアップが続いているアップルとの比較では、「デバイスの多様性がマイクロソフトの大きな魅力だ」(クルトワ上級副社長)。
パソコンは似たものばかり・・・・
しかし、である。現在の売れ筋パソコンをみると残念ながら似通ったデザインの製品が多い。具体的には、アップルのヒット商品「マックブック・プロ」と見間違えるようなパソコンが数多く発売されている。
キーボード操作のノートパソコンとタッチ操作を行うタブレット端末を1台でこなせる点がウィンドウズ8の大きな特徴だが、この機能を実現するためのマシン設計を見ても、あまり個性的なものはない。液晶画面側をグルリと回転させてタブレット型にする「サバ折り」を採用しているパソコンがほとんど。意表を突いたものとしては液晶部分を取り外せるモデルもあるが、バッテリーの関係で全体の重量がかさんでしまうため、携帯性の面で難点がある。
そうした中で、独自のスライド型ボディを採用しているのがソニーの「VAIO Duo11(デュオ・イレブン)」だ。昨年12月発売の週刊東洋経済臨時増刊「マイクロソフト 逆襲のシナリオ」でも、複数の専門ライターがお勧めパソコンとして絶賛している。
スライド型の強みはキーボード操作とタッチ操作の切り替えがワンタッチで行えること。テーブルの上に置いたまま片手で切り替えられるため、作業が中断することがない。それに対し、サバ折りタイプは作業をする手を止めて一度、パソコンを持ち上げてから、グルリと回転させなければならない。
実際、Duo11の販売台数は好調に推移しているという。ソニーは機種ごとの販売台数を明らかにしていないが、「年末商戦では計画以上に売れたためバックオーダーを抱えている状態。生産現場はフル生産が続いている」と説明している。1月初旬に米ラスベガスで開催された「CES(コンシュマー・エレクトロニクス・ショー)2013」では後継機種も発表し、VAIOのフラッグシップ(代表機種)と位置づける。
長野県の安曇野で生産
65カ国/地域で販売しているVAIOの総販売台数は今期850万台(前期840万台)の予定。その中に占めるDuo11の比率は必ずしも高いわけではないが、その果たす役割は重要である。長野県安曇野市豊科にある生産子会社のソニーイーエムシーエス長野テクノロジーサイト(長野工場)で生産し、国内生産ならではのスペックやサービスを織り込んでいるからだ。
現在、ソニーはVAIO生産のほぼすべてのシリーズを中国に工場を持つEMS(電子機器製造サービス)に委託しており、日本で生産しているのは旧モデルの「Zシリーズ」とこのDuo11に限られる。「メイド・イン・ジャパン」を続けることの意味とは何なのか。実際に付加価値を生みだしているのかどうか。長野工場の現場を取材した。
長野工場は、モノづくりだけではなく、VAIO&Mobile事業本部の本拠地である。開発・設計部隊が品川本社から移動したのは10年のこと。現在でも販売現場に近いマーケティングや商品企画部隊は品川にあるものの、本部長以下、かなりの人数が長野工場に集結している。
04年から「@安曇野」という形で、生産現場と開発現場の一体化を進め、05年9月には薄型の「TXシリーズ」という形で成果を出した経緯がある。この組織一体化をより一層進めたのが10年だったというわけだ。その後も「Zシリーズ」、そして「DUO11」と独特なデザインのパソコンを生み出してきた。
「企画、設計、量産、調達などすべての関係者が一同に集まって、一度に話が進められる。それまでは設計→試作→評価→フィードバックという具合にループを回していたが、それと比べると時間の短縮が図れるようになった」とVAIO&Mobile事業本部PC事業部商品1部の林薫統括部長は言う。
「大部屋」で開発
実現できたのは、スピードアップだけではない。
「従来は設計でもマージン、製造でもマージンという具合に、いろいろな部署が余裕というかのりしろを持って仕事をしていた。商品を良くしたいという思いは共有していても、他の部門に迷惑をかけないように、という思いからどうしてもそうなってしまう。そして、そのマージンが積みあがるとどうしても分厚くて余裕のあるデザインになってしまう。ところが、大部屋、ワイガヤのスタイルでやるようになってからは、そうしたマージンがなくなった。これにより、高密度実装をいっそう追求し、究極の薄さ、究極の使い勝手を目指せるようになった」(林統括部長)
では、工場の製造現場にはどのような秘密が隠れているのか。右の写真は入り口から製造現場を覗いたところ。ベルトコンベア方式ではなく、コンパクトなセル型の製造ラインになっている。
製造現場にはさまざまな工夫がある。その代表的なものをあげると、まずは「IPS液晶ディスプレイユニットへのカメラ用レンズ台の取り付け」である。ディスプレイ上部に開けられた穴に正確にレンズ台を置くため、位置決め専用のアシスト装置を自社開発した(左下写真)。
ディスプレイメーカーにあらかじめレンズ台を付けるガイド用の突起を付けてもらえばこうしたアシスト装置は必要ない。しかし、そうすると薄さを犠牲にしなければいけなくなる。また見た目の美しさにも悪影響がある。そのため、手作業で1つ1つ正確に取り付けることにこだわった。
こうした独自の装置を用意できるのは、設計部隊と量産立ち上げ部隊が大部屋にいるからだ。量産工場の設計を担当するソニーイーエムシーエスGDP部の長澤敏行担当部長は「設計の早い段階から頻繁に打ち合わせをしているため、ほかには絶対に真似をできないようなギリギリのところまで追求できる。製造装置を自作できるのも強みだ。製品設計が終わったときには量産ラインも完成している、という形になっており、垂直立ち上げをできる」と胸を張る。
スライド方式を可能にした秘密兵器
DUO11の最大の特徴であるスライド型の構造も、「@安曇野」だからこそ実現できたものだという。左の写真を見てほしい。これはCPU・キーボード側と、ディスプレイ側をつなげているところだ。
1人の作業員が効率的に作業できるようにつくったのがオレンジ色をしている装置。写真のためわかりにくいのだが、この装置には2本の配線をすばやくつなぐためのノウハウが盛り込まれている。鏡が付いているのも、失敗することなく配線作業を行うための工夫だ。
「スライド型の難しさはヒンジの構造の問題で配線が難しいこと。手の届かないところに配線をするためにはどうすればいいのか。その難題を解決してくれたのが、工場の現場が開発してくれたこの装置。これがなければスライド型はあきらめざるを得なかった」(林統括部長)。
なお、「@安曇野」ならではの工夫としては、タッチ画面への保護フィルムの貼り付けサービスも行っている。クリーン度を保った囲いの中で作業員が丁寧に保護フィルムを貼っていた。
長野工場で生み出した製造ノウハウはEMSへ委託する際にも、活用している。平井一夫社長は1月17日のインタビューで「日本国内でしかできないものは国内でつくる。さらに国内工場には、量産の技術やノウハウを蓄積し、海外の自社工場やEMSへ展開していく役割がある。そうしたマザー工場、マザー製造事業所ということを日本で引き続きやっていかなければならない。円安が進んだとしても、この構造が大きく変わることはない」と発言している。
マザー工場としての役割という点では、長野工場は優等生的といえるだろう。あとは世界シェアを伸ばせるような差異化商品を継続的に生み出し、赤字が続くエレクトロニクス事業の損益改善に寄与できるかどうかが問われている。
(東洋経済)
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