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なぜシャープは批判“報道”されるのか?いま社内で静かに進む、組織改革の実像と行方!

「またシャープの記事か」--本稿のタイトルを見て、こう直観された読者も多いのではないだろうか。そう思われても仕方ない。そのほとんどが同じような内容(論調)であるからだ。シャープに立ち込める暗雲について書かれていて、晴れ間が見えてきた、という記事は皆無である。
その記述を見ると、日本のマスコミがよく使う取材方法、表現である「(業界)関係者によると」という匿名のニュースソースに依るものが多い。それを根拠としてジャーナリスト独自の見解を結果として打ち出す。これが事実に反するガセネタである場合もあるが、「勇み足」と思われる記事であっても、後に事実であると判明することが少なくない。
いずれにせよ、スクープと思われる記事が出ると、シャープに限らず多くの企業広報は「当社から発表した内容ではありません」といった公式コメントを出す。なぜ、このような顛末になってしまうのだろうか。
原因は特定できないが、一つは、記者会見以外、取材を拒否していることにある。その対策として、ジャーナリストは、社長をはじめとする責任者の自宅を昼夜の区別を問わず訪問しコメントを求める「夜討ち朝駆け」なる取材手法を駆使する。しかし、ここから得られる発言内容は短めになりがち。そのため、関係者を徹底的に取材した上で裏をとり、“Yes or No”の確認を得ることを主な目的とする。ここでコメントを求められた当事者が「その件については、いずれ発表します」などと口にすると、記者(上司のデスク)はそれではスクープにならないと判断し、持ちネタを合わせて記事としてできるだけ早く発信することになる。
一旦、影響力を持つメディアがスクープ記事を出すと、他社の記者や無所属のフリージャーナリストたちが一斉に追っかける。新聞であれば、とりあえず当日の夕刊か翌日の朝刊に追っかけ記事を小さめに載せる。抜かれた側の記者は悔しく思うだろうし、デスクからも「何をしているんだ」と叱責される。その結果、今はやりの「倍返し」ではないが、当該企業の別のニュースを、今度こそ我先にと追うのである。
こうした関係性が、今のシャープとマスコミの間に生じているのではないだろうか。この点について、シャープの社員に話を聞くと、「奥田(隆司)元社長は(2012年4月に)社長に就任してから1年3カ月の間、就任時以外、個別のインタビューには応じていません。だから勝手に書かれてしまうのではないのでしょうか」と言う。
シャープの広報については、「オープンではない」「業績が良いときは売り込んでくるのに、事情が悪くなると、手のひらを返したように閉鎖的になる」「上の目ばかりを気にしている内向きヒラメ広報」という声を現場の記者や編集者から聞くことが多い。
私見では、広報マン・ウーマンに限らずシャープの社員は、華やかな振る舞いは不得意だが、誠実な人が多いと思う。かつて、シャープに関する本を書くに当たり、きめ細かな対応をしていただいたことに今も感謝している。したがって、一時的な組織の印象を社員個人に当てはめて論じるようなことは控えたい。とは言え、最近のシャープの広報姿勢を見ていると、閉じた貝になっていることで、良さを発信できず誤解を招いているのではないかと案じざるを得ない。
悪化した関係性のせいか、現在、マスコミが描くシャープは、かつて禁じ手とされてきた人員削減(希望退職)を断行してしまった「暗い組織」である。
●SNSを使用した社内限定のコミュニケーション
では、今もシャープ社内は本当に暗いのだろうか。そうとは断定できない。その証拠に、最近同社では次のような光景が見られる(個人により感じ方が異なるので、第三者としてはあえて次のような一事実の描写にとどめておく)。
長い間発行されてきた活字の社内報もなくなってしまったシャープでは、現在、社内限定のクローズドなSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)でコミュニケーションが行われている。例えば、高橋興三社長と社員の間でも隔たりのない会話が飛び交う。社員の情報に基づくと、例えば次のような具合だ。
高橋社長 「今日、A社との納入契約が締結しました。今、新幹線に乗り、買ったばかりのチューハイを飲んでくつろいでいます」
社員 「社長、お疲れ様でした。これは社内SNSですが、どこで取引先の社名が漏れるかわかりません。具体的社名を出すのはやめておかれたほうがいいのでは」
高橋社長 「そうですね。社名は出さないようにします」
このほかにも、アイデアを積極的に提案するだけでなく、実名を名乗り苦言を呈する社員も増えてきた。かつてのシャープでは、課長同士で話をして、部長に上げて、事業部長、本部長、副社長と手順を踏んでやっと事案が決定するという官僚組織の弊害が見られた。前述の「ヒラメ広報」という指摘も、このような組織文化を反映していたのではないだろうか。奥田前社長も個人的には温厚で話しやすい人柄だったが、高橋社長がより自ら積極的に対話していこうとする姿勢を打ち出したことで、「社内での風通しはよくなった」(社員)という声が聞かれるようになった。
高橋社長は、社長就任発表後、金融機関への挨拶回りを終えた5月17日に全社員に向けて、「シャープはチャレンジ精神をなくしている。このおかしな企業文化を変えよう。10年後、20年後も、残る会社にしよう」と呼びかけた。その際、中期経営計画の内容には触れていない。社長がコロコロと替わり、社員が動揺するのがよくない。彼らの心をしっかりつかむことが最優先課題である、と考えたからだ。
●旧経営陣との新しい関係
最近、シャープ社内からこんな情報も得た。
「今でも、辻さんは、やる気満々。『私がもう少し若ければなあ』と言っています」
「辻さん」とは、社長、相談役を務めた後も特別顧問として残り、高橋社長就任と同時に退任した辻晴雄氏のことである。奥田氏が社長に就任した後も、大赤字の責任をとって退任し代表権のない会長になった片山幹雄氏だけでなく、片山氏の前任社長の町田勝彦氏が相談役として、さらにその前任である辻氏が取締役会での影響力を持ち続けたことで、「シャープの経営は3頭体制」とマスコミから批難され続けてきた。金融機関からも同様の声が出ていた。
最近、私の書斎を整理していると「週刊東洋経済」(東洋経済新報社/2004年3月27日号)が出てきた。カバーストーリー(特集)のタイトルは「7つのキーワードで読む液晶王国 シャープ」である。当時は同誌だけではなく、ほとんどのマスコミ、ジャーナリストが絶好調のシャープを描いていた。私も同年6月に『シャープの謎』(プレジデント社)を上梓し、町田社長(当時)率いる同社の強いコア事業を持つ多角化戦略について論じた。
この頃は、シャープ社内やマスコミだけでなく、世の中も「液晶王国シャープ」の行方に注目。シャープの社員は「うちは歴代、経営者に恵まれていますから」と口を揃えたように言っていた。当時、経営陣の側にいた社員は今、「誰もがシャープの未来を疑わず、今のような苦境に陥るとは想像もしていなかった」と振り返る。
暴論に聞こえるかもしれないが、ここで、敢えて私論を提言しておこう。「成功と失敗の両方を経験した」、いや、「天国と地獄の両方を見た」重鎮でやる気満々の辻氏に意見を聞いてみてはどうだろうか。「3頭体制」と揶揄された頃とは環境も変わった。金も地位も名誉も気にしていない健康な80歳の元経営者は、損得勘定抜きで思いもつかぬ老練な知恵を授けてくれるかもしれない。辻氏、場合によっては町田氏にも老害ならぬ老益を期待したい。「今の私には関係ないこと」と突き放してしまうよりは、ボランティア精神を発揮し、実践知に裏付けられた意見を提示することで、晩節を汚さず有終の美を飾ることができるのではないか。
退任した役員たちは、けじめをつけないといけないが、現経営陣と「新しい関係性」を築けるか否かは、高橋社長の腕の見せ所である。建設的な関係を築き経営が好転すれば、株主や銀行からも文句を言われる筋合いはない。
維新の旗手である高橋社長にとっては旧幕勢力に頭を下げたくないかもしれないが、ここは、NHK大河ドラマ『八重の桜』で見られる新島八重の兄である山本覚馬に学び、仇敵と冷静に対話することも重要ではないか。昨日の敵は今日の友である。会津藩の什の掟(じゅうのおきて)にあった「ならぬことはならぬものです」という考えは、どの経営者も持っている。だが時には、状勢を敏感に察知し、柔軟に対処することも求められる。
(文=長田貴仁/経営学者 ジャーナリスト)
http://biz-journal.jp/2013/09/post_2914.html
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